アンハッピー・ウエディング〜後編〜

好きなタイプは、という俺の質問に。

寿々花さんは、しばし考えて。

「好きなタイプ…?うーん。タイプは良く分かんないなぁ」

おい。自称恋愛経験豊富な乙女が、それで良いのか?

「何かあるだろ…?優しい人が良いとか、真面目な人が好きとか…」

「優しいからとか、真面目だからとかじゃなくて、悠理君が好きだよ」

「つまり、まだ誰を攻略するか決めてないってことだな…?」

「うん」

駄目じゃん。

まぁ、今日プレイを始めたってことは、まだ序盤だろうから。

もう少し様子を見て、誰を攻略するか選んでも良いけど…。

「じゃ、好みの顔は?顔で選んだら?」

「でも、人を見た目で判断しちゃ駄目だって」

「そりゃまぁ、そうなんだけど…」

リアルだと、確かに寿々花さんがおっしゃる通り。人を見た目で判断しちゃ駄目なんだが。

顔で選ぶと、大抵ろくなことにならないと相場が決まっている。

円城寺だってそうだろ?顔はそこそこだけど、中身は最悪じゃん。

でもこれ、ゲームだから。

ゲームくらい、顔で人を選んでも良いんじゃね?

誰を攻略するか決まってないなら、余計に。

第一印象って大切だと思うんだよ。やっぱり。

「顔が格好良ければ、多少性格に難があっても、『でも格好良いから良いか』って許せるだろ?」

「そうかな?」

「そうだよ。それに、乙女ゲームに出てくる男なら、それほど性格の悪い奴もいないだろ」

基本的には、プレイする女性に「この人素敵!結婚したい!」と思わせるのが乙女ゲームの目的だろ?

それなら、そんなドン引きするような嫌な性格の男は出てこないだろう。多分。

誰を選んでも、そこそこ良いところはあるし、魅力的な一面が必ずあるはず。

「そっか、成程。悠理君、乙女ゲームに詳しいね」

「…普段からやってる、みたいに言わないでもらえるか」

やってねーから。初めてだから。経験者みたいに言うな。

俺にそんな趣味はない。

「で、誰にするんだ?攻略対象は」

「うーん。じゃあ、そうだなー、この人にする」

と言って、寿々花さんが心に決めた相手は。

…三人目の、クール系ヤンキー風イケメンだった。