アンハッピー・ウエディング〜後編〜

そういうことなら、まぁ良いや。

心ゆくまで、好きなようにときメロを楽しんでくれ。

…と、思ったが。あろうことか寿々花さんは。

「悠理君、一緒にやろうよ」

と、俺を誘ってきた。

何だと?

「い、一緒にって…?」

「このゲーム、さっきから選択肢がいくつも出てくるの。どの選択にするか、一緒に選ぶの手伝って」

あろうことか、俺に乙女ゲー攻略の手伝いを頼んできた。

嘘だろ。マジかよ。

「いや…そう言われても、俺は男だから、イケメンの攻略法なんて分からないぞ」

「何で?同じ男の子なんだから、男の子の気持ちは男の子の方がよく分かるでしょ?」

確かに。と思ってしまった自分がいる。

いや、でも無理だって。

男なのは確かだが、ゲームの中の男の気持ちなんて分かるかよ。

それなのに。

「それに、ほら。主人公の女の子の名前、『星見悠理』にしたんだ」

何で俺のフルネーム?

無断使用を許可した覚えはないんだが?

アカウントのニックネームと言い、あんたは俺の名前よりまず先に、自分の名前を使えよ。

「一緒にやろー。悠理君」

嫌だよ、何が嬉しくて男が乙女ゲームなんか…と、言いたいところだったが。

…そんな無邪気な顔で頼まれたら、断るに断わり切れないじゃないか。

スマシスも全然付き合ってあげられなかったもんな。俺が弱過ぎて。

その負い目もあるから、余計断りづらい。

分かったよ。…やれば良いんだろ、やれば。

「良いけど…俺は恋愛経験皆無だからな。気の利いたアドバイスは期待するなよ」

「大丈夫だよ。私は恋愛経験、いっぱいるから。任せて」

そうか。それなら安心…。

…って、マジで?

思わず目が点になってしまったが、寿々花さんはぽやんと首を傾げて。

「…どうかした?悠理君」

「え?いや…。…」

恋愛経験豊富…なのか?あんた。

全然そんな風には見えないのだが?

人は見かけに寄らないってことなのかもしれない。

俺に隠れて、誰と恋愛してるんだよ。

「早く、早く。一緒にやろー」

「あ、あぁ…」

戸惑いながら、俺は寿々花さんの隣に腰を下ろした。

俺はゲームよりも、寿々花さんの恋愛事情の方が遥かに気になるんだが…?