アンハッピー・ウエディング〜後編〜

スマシスに続いて、ときメロねぇ…。

「スマシスは?もう飽きたのか」

「うーん。全キャラVIP?になったから、もう良いかなーと思って」

「あ、そう…」

全キャラVIPってのがどういうことなのかは、俺にはよく分からないけども…。

とりあえず、寿々花さんなりにスマシスをやり込んで、飽きたから別のゲームを始めたってことだな?

スマシス音痴の俺には、寿々花さんが成し遂げた「全キャラVIP入り」というのがどれほど難易度の高い偉業であるか、全く分かっていなかった。

ともあれ、スマシスはもう飽きたってことだから。

新しい、今度はときメロを始めたらしい。

で、問題はそのときメロっていうゲームが、何をするゲームなのか、という点だ。

見た限り…スマシスみたいに、蹴って殴って崖から突き落とすゲームではなさそうだな。

スマシスに比べて、コントローラーの動きがめちゃくちゃ静かなんだもん。

画面も静かだしな。ひたすら、キャラクター同士が会話している。

フルボイスでイケメンが話しかけてくる。無駄に豪華なゲームである。

「それって、一体何をするゲームなんだ…?」

「ゲームに出てくる男の子を攻略して、最終的にその人とゴールインを目指すゲームなんだって」

「…」

…成程。登場人物がイケメン揃いの理由が分かった。

所謂、あれだな。乙女ゲーって奴…?

男共がよくやるギャルゲーの反対だよな。女性用のギャルゲーって言うか…。

恋愛シミュレーションゲーム、と呼ばれる類のゲームだな。

勿論、俺はやったことがない。

これからやる予定も全くない。

ふーん…。乙女ゲーねぇ…。

「…寿々花さん、そういうの興味あったのか?」

乙女ゲーに憧れる、秘めたる欲求みたいなのがあったのか。

別に良いけど。趣味嗜好は個人の自由だからな。

寿々花さんが格闘ゲームをやろうが、乙女ゲーをやろうが…。俺は生暖かい目で、静かに見守るよ。

しかし。

「?ううん。スマシスに飽きたから別のゲームやろうと思って、手に取ったのがこれだったから」

寿々花さんは首を傾げて、そう答えた。

乙女ゲーに興味があったから、ではなく。

単に、ときメロのソフトが手近にあったから始めてみた、ということらしい。

あ、そう…。

…ちょっと安心した。

寿々花さんにも、イケメンとの恋愛に憧れる、少女漫画の主人公みたいな…意外な一面があるのかと思ったが。

あるいは、現実の婚約者…つまり俺…に不満があるから、ゲームで解消しようとしたのかと思ったが。

どうやら、そういう訳ではなかったらしい。

…さすがに俺、ゲームに出てくるようなイケメンにはなってあげられないからな。悪いけども。