アンハッピー・ウエディング〜後編〜

…えぇっと…。

…何だ?これ。

よく分からないんだが…。俺には関係ないってことで、スルーして良いかな。

しかし、スルーしようとしても、ゲーム音は聞こえている。

『凄い偶然だよな、席まで隣なんてさ。俺達、運命の赤い糸で繋がれるってことなのかもな』 

とかいう、腹が捩れそうなクッサい台詞を吐くイケメン。

運命の赤い糸なんて、リアルで言ってる奴初めて見た。

いや、リアルじゃないけどな。ゲームだけど。

…ゲームでもクサいっての。

つーか、スマシスってこんなモードあったの?

対戦相手を崖下に叩き落とすだけのゲームだと思ってたよ。

更に、爽やかイケメンの他にも。

『か、勘違いすんなよ。別に俺はあんたのことなんて、何とも思ってないんだからな』

今度は別の、天然パーマのちょっと可愛い系の男が出てきて。

ツンデレのテンプレみたいな台詞を吐いていた。

それ、言ってて恥ずかしくならねぇのか?

他にも。

『ねぇねぇ、そこのかわい子ちゃん。時間ある?今から俺と一緒に遊ばない?』

いかにもチャラそうな、金髪のイケメンだの。

『…何だよ。こっち見てんじゃねぇぞ』

ヤンキー風の小生意気そうなイケメンだの。

『あなたもこの本、お好きなんですか?良かったら他にも、おすすめの本を教えてくれませんか』

図書室らしき場所で本を片手に持った、真面目そうなメガネのイケメンだの。

『今度、我が家のホームパーティーに招待するよ。勿論来てくれるよね?』

何処か円城寺に似ている、気取った顔の金持ちお坊ちゃんのイケメンだの。

次々と、画面にイケメンが出てくる。

スマシスの路線変更があまりにも予想外過ぎて、スルーしようと思っても出来ない。

…なぁ。それ、もうほぼ別ゲーじゃね?

あろうことか、そのままイケメンと遊園地デートまで始まってしまって。

さすがの俺も、これ以上無視することは出来なかった。

「…なぁ、寿々花さん。ちょっと聞いて良いか?」

「なーに?」

「それ、今…何やってんの?」

もし寿々花さんが、「スマシスだよ」と返事をしたら。

俺は今すぐスマシスを販売している某ゲーム会社に連絡し。

あんたらは、一体どんなゲームを作ってんだよ、とクレームの一つでも入れてやろうと思った。

しかし。

寿々花さんの返事は。

「これ?『ときめきメロディアス』っていうゲーム。ときメロ、って略すんだって」

…とのこと。

どうやら、スマシスが大胆な路線変更を決定した訳ではないらしい。

それはホッとしたけども。

しかし、別の疑問が浮上。

…ときメロ?何それ?

いかにも可愛らしいタイトルだが…。

「それもゲームなのか…?」

「うん。悠理君のお友達の、神様の眷属じゃない方の人がくれたゲームの中にあったの」

つまり、この間雛堂からゲーム機をもらったとき、同封されていたゲームソフトの一つだということだ。

そういや、スマシスの他にも…何本かソフトが一緒に入ってたっけ…。

すげーな。ゲーム機の福袋をもらったかのようだ。