『寿命を何年分売りますか?』何処かの映画で見た展開。
 「寿命何年分引き換えにお金と交換しますか?」と怪しい人が僕の目の前に現れた。常人なら、「何を言ってるんですか⁉売れるわけないですよ。」の一点張りだと思う。その時の僕は、精神が追いやられていた。人生、恋愛、進路、夢等必要なものがほとんど欠けてたみたいだ。僕は「1年なんぼですか?」とねじの外れた回答をする。すると怪しい人は不気味な笑みを浮かべて、「1年一千万ですよ。」と言った。その時、僕の心の何かが揺れた。これだけ残り寿命が残っていても良い事なんてない。行き交う人たちが僕の悪口を言う。僕の意見を聞かず楽しむ獣たち。どれだけ頑張っても成長しない自分。そして、すればするほどつらくなる恋愛。この大きな4点が僕を苦しめた。
 少し悩んでいた僕だが口を開く。「寿命を残り一年だけ残します。」普通の人なら僕の事を(やばい奴。)と口をそろえて言うだろう。但し、残り一年だ。この辛い生活が一年で済めば楽になるんだろうか。でも残り一年が僕にとっての人生だ。一年ならこの辛い恋も本気で愛せる。何処か心の中で思っていた。
 怪しい人は、契約が成立したのか僕の前から、「では、明日君の枕元に8億5千万円を置いときます。残り一年頑張ってください。」と一言添えて消えた。僕はその後、視界が急に真っ暗となった。