上司ということは、ノアムさんは彼よりも偉い人ということだろう。
　なのに、私を見ていていいのだろうか、と思いながらノアムさんの話に耳を傾ける。


「君に危害を加えたり、嫌だと思うことは絶対にしないから、そんなに怖がらないでくれないか？」


　怖い人ではないことはわかったが、彼の側にいる方が安心するのでリュカの後ろにいただけなのだが、どうやら勘違いをさせてしまったらしい。


「もう怖くないです。ノアムさんが怖い人じゃないのはわかりましたし」


　慌てて誤解を解こうと言った私の言葉を聞いて、ノアムさんは安心したように息をつく。

　それからノアムさんに促され、私と彼はソファに座る。彼の家のものよりもふかふかしている。
　それを無意識に口にしていたみたいで、彼が何故だか悔しそうにしている。


「もう少しお金が貯まったら、もっといいソファ買うから楽しみにしてて」

「私はあのソファも気に入ってるよ？」

「本当に？　俺に気遣ってない？」

「……？」


　本当のことを言ったのに、彼がおかしなことを聞いてくる。
　何に気遣っていると思ったのだろうか。