リビングに戻り、キッチンの方へ向かう。
ふと、
綾人がハヤシライスを食べ終えた後に、食器を洗って、
水切り台に置いてくれているのが目に入った。
こういうところはキチンとしていて、彼の気遣いが垣間見える。
食器棚から新しい器を取り出し、ご飯を軽く入れると、
その上からハヤシライスのルーをかけた。
冷蔵庫の中から、
準備していたサラダを取り出す。
そのままリビング側へ戻ると、
ソファの前にあるローテーブルの上に置いた。
再びキッチンへ戻り、
フォークとスプーン、
水の入ったペットボトルを持ってくる。
食べる準備を終えると、床に座って、
1人、
静かに手を合わせる。
最初に、ハヤシライスを一口分掬って、口に運ぶ。
美味しい。
美味しい、けど。
何か、足りない。
綾人と2人で食べれたら、
もっと
美味しかったはず。
意地なんか張らないで、
シャワーの前に、
一緒に食べれば良かったのに。
こういうトコ、
ホントに可愛くないなと、
自分でも思う。