「森崎先輩とも、こういうことしたの?」
畳み掛けるように言葉を続けると。
「…なんでそんなこと、今言うんだよ。」
背中側から、綾人の怒りをひしひしと感じた。
負けず嫌いな私は、思わず
「したんだね。」
と、勝手に結論を出して話を切り上げた。
「麗蘭はどうなんだよ。」
「何が?」
「高坂先輩、麗蘭のこと、好きなんだろ?この前の花火の時も2人で並んで歩いて帰ってきたし、大学の食堂とかでも、2人でいること、増えたじゃん。麗蘭も、先輩のこと、好きなの?」
ドクン、と心臓が跳ねる。
気付いてたんだ、私と高坂先輩のこと。
告白されたことは誰にも話してなかったけど、
傍からみたら、そういう空気感が出ていたんだ。
確かに、高坂先輩は良い人だ。
いつも穏やかで、優しい。
一緒にいると、落ち着く。
でも、それが
好きという気持ちなのかが、分からない。
ただ、
これから好きになるかもしれないという期待感を、
少しだけ、抱いているのも事実。
「なあ、どうなんだよ。」
下着姿の綾人が、
ソファから立ち上がって私の方に近づいてくる。
綾人の放つ、怒りともとれる空気感に
耐えられなくなった私の口から、咄嗟に出た言葉は。
「好き…に、なるかもしれない。」
その言葉を聞いた綾人が、
ぴたっと、歩みを止めた。
「そう…なのか。」
目線を下に向けた綾人の表情は、
部屋の中が暗いせいもあって、
悲しいのか、
怒っているのか、
よく分からなかった。
しばらくの沈黙。
耐え切れなくなった私は、明るくこう言った。



