すっかり暗くなってしまった部屋の中で、
私たちは無言で、しばらくの間、抱き合った。
付き合う、のかな。私たち。
胸の中で期待が膨らむ。
でも…。
ふと、急に不安な気持ちに襲われる。
この前、花火をした時に、森崎先輩と一緒に抜けてたよね。
あの後、森崎先輩とはどうなったの?
もしかしたら、それっぽい空気になったら
綾人は、誰とでもこういうこと、
するのかもしれない。
そう思うと、この幸せな気分は、
他の女の人も感じている、
とても陳腐なもののように思えてきた。
急に心が冷えて、
思わず、
綾人の背中に回していた腕を緩めてしまった。
そのまま、ソファから立ち上がる。
「…麗蘭?」
綾人が、優しい口調で声をかけてくれたけど、
私は彼に背を向けたまま、
床に落ちていた下着と服を拾って、
無言のまま身に付けた。
「…他の人とも、こういうこと、するんでしょ?」
急に憎まれ口キャラが戻ってきた。
可愛くない。
もっと他に聞き方、あるでしょ。
そう自分でも心の中でツッコミを入れたけど、
言い直す気にはなれなかった。
拗ねてしまった私は、自分でも呆れるくらい、扱いにくくなる。
ホント、面倒くさい女。



