「四宮藍」
「あー、噂の!」
ぱぁっと明るくなった表情。興奮した様子で私のことを大胆に指差す
「乗せてってあげるよ。乗りな」
「ええ、」
その言葉にたじろいでいると、『早くしろよ』と北浜さんに圧をかけられた
…な、なんでこんな状況になった!?
緊張したまま後部座へ乗り込む
「初めまして。いつも橙真と緑から話は聞いてるよ。」
「は、初めまして」
ゆっくり弧を描いて笑う関目さんからは、大人の余裕を感じる。
話は聞いてるって…悪口かな。
「突然びっくりしたよね。ごめんね〜。今日はこのままmoreでツアーの打ち合わせだからさ。通り道だし、どうせなら橙真迎えに行こうと思って来んだ。」
ルームミラー越しに合う視線に、一気に顔が赤くなる。
大人の余裕とはこのこと。いつもいじめてくる北浜さんとは大違いだ。



