甘の弱な君が好き【完】


『時間ねぇから、そこから投げろ』



そう言って片手を私の覗いている方へ伸ばしてくる。



まるで迎えにきた王子様みたい…



はっ、いけない!見惚れてた!



邪念よ飛んでいけ!と頭を振って、体操服の入っている巾着を下にいる北浜さんへ投げる




「えいっ」



落ちていく巾着袋を、片手で軽々とキャッチする北浜さん


「ナイスキャッチです!」



さすがスター、体操服さえ涼しい顔で受け取ってちゃうんだもん



『ふっ、お前にはもうかさねぇー』



そう言って、簡単に王子様のような笑顔を見せてくる


思わず、どきっとして目を背けてしまった。


まるで誰にもばれていないだった2人だけの世界みたい。


それが嬉しくて、もどかしくて、どうしようもない気持ちになった。