甘の弱な君が好き【完】


「それ北浜橙真に借りたの?」



こそっと誰にも聞こえたい声で黄子ちゃんが耳打ちしてくる


「うん、そう」



「えーやばっ」



ちょっと興奮した様子の黄子ちゃんは、ずっと私の隣にいて『いい香り〜』と楽しんでいた


ずっと鼻の穴が広がっていて、一歩間違えれば変態だよ黄子ちゃん…














体育の授業が終わり、残すはあと1限で帰れる!と教室で解放感に満ち溢れていると



携帯のバイブレーションが鳴り『着信:北浜橙真』の文字



「…あ、忘れてた」



そうだ、体操服返してない。



私としたことが…



急いで応答へスライドさせて、誰にも聞かれないように教室の隅へ移動した


「も、もしもしっ」



『てめぇ、まさか忘れてたとか言うんじゃねぇだろうな』



いつもよりうんと低い声


うう、怒ってる。