甘の弱な君が好き【完】


ふわり香るのは、北浜さんの爽やかな香り



そして背中に微かな体温



背後から包み込むようにして裁縫セットを取ってくれた北浜さんに胸が高鳴った


「っ、」


振り返って見上げると、思ったより近くてさらに動揺してしまう。


北浜さんに焦点のあった視線の奥で揺れるカーテン。



映画のワンシーンみたいな美しさに、全体の温度が急上昇するのが分かった



こ、こんなの反則じゃない…?



「ん、届かないなら言えよ」


何事もなかったかのように差し出させる裁縫セット



「…あ、ありがとうございます」



あー、びっくりした。


心臓に悪い。



「シ、シャツ貸してください」


平常心、平常心


「別にいいのに」