甘の弱な君が好き【完】


…ご飯食べてる時だけはなんか可愛いんだよね。


じゃなくって、


「ダメですよ。スーパーアイドルなんだから身なりに気をつけないと」



「まじで親かよ」


さっきのこともあってか、明らかにうざそうな顔をする。


「ここ応用室だから、なんでもありますよね?裁縫セットどこにありますか?」




「さあ」



応用室ってね、美術室とか音楽室とかひとつひとつ作れないから全部が一通りできるように備品が揃えられた芸能コースのための教室らしい。


だから裁縫セットも絶対あるよね。


うーん、ミシンとかあるしここらへんかな?



あ、あった!!


キャビネットの上にラミネートテープで『裁縫セット』と書かれたボックスを発見



精一杯背伸びして、手を伸ばす



「と、届かないっ、」



うーん、あともうちょっとで届きそうなのに。



あと5センチ届かないっ。



「危ねぇだろ。」



その呆れた声と同時に、血管の浮き出た男らしい腕が伸びてきて最も簡単に裁縫セットが視界から消えた