甘の弱な君が好き【完】


「藍」



え?今…



名前を呼ぶ声が聞こえて、抱きしめられて目の前が真っ黒になった。



何が起こったかわからない中で、こんなに瞬時にときめくこの香りの持ち主って、



「…え、き、北浜さんっ?」



慌てて離れようと、身体に力を入れると、



「いいから、」



その心地いい声と、私の顔を上げさせないように後頭部に回された手、逞しい胸板の感触



…なんでっ?



「このままじゃ、濡れちゃ、」




「いいから黙れ」



強くも優しい声で、もう一度包み込まれて、胸が騒ぐ




「どうして、」



そういえばここって芸能コースへの入り口の近くだっけ?



「バレるぞ」



「北浜さんの方がバレたらまずいんじゃ、」



私がバレたってどうってことないのに。



北浜さんがバレた方が確実にやばい



「だから俺も藍に顔埋める」



「っ、」



私の肩にすっぽりはまった重み



頬に当たるのは北浜さんの柔らかい髪