甘の弱な君が好き【完】


「覚えてねぇよ」



「えー、私はすごく覚えてるのになぁ」


そう言って口を尖らせる。


そんなこと言われたって覚えてないものは覚えてないのに。


そもそも今日は、俺らの夏休みで休暇に来たのに。真白はいつまでいるんだろうか。


昔からちょっと図々しいところがあるんだよな。


はぁ、とため息をついて、不意に目線を上げると



「っ、」


藍と目が合って、すごい勢いでそらされた。


…なんか、見たことない表情してたけど。



「おい、なんだよ。やけに静かだな」


たまらず、声をかける



「別に…」



ろうそくの火を挟んで向こう側、消えそうに小さな声で、こっちを一切見ずにそういう



「何かあったのか?」



「何もありません」



なんだよ、俺には言えないのかよ。


明らかにおかしいだろ。そんな不自然な態度でよくそんなこと言うよな。


あー、もうわかんねぇ。イライラするな。