#ももかside

はぁー、もみじになりたい。



数学の授業中、私はみんながプリントを解いている時、1人で今か今かと待っていた。

数学は得意だから早く解き終わってしまった。

そのプリントを前にいる先生のところに提出しに行かなければいけない。

ポキッ。

あっ!

シャー芯で遊びすぎたせいで、折れてしまった。

私は、遊ぶものがなくなったから、ずっとほとんどの解答欄がうまっているプリントを睨んでいた。

そろそろかな。

行くなら今かな?

あ、でも早瀬くんが行ったから、もう少し待つか。

〈もも〜!なんで行かないの?〉

「だってー。タイミングが……。」

私の前の席の白石佳穂(Kaho Shiraishi)が私の状況を見て、小声で聞いてきた。

そう。

私の悪いとこ。

何をしてても、タイミングをうかがってしまうとこ。

私は、窓の外のもみじを見ながら思った。

私も何も考えずに行動できたらいいのにな。

もみじみたいに何も考えずに成り行きにまかせるのは楽なんだろうな。

自己嫌悪におちいり、私はしばらくテンションが低かった。


#さくとside

やっぱり俺、愛華のこと好きかも。



はぁー。

どーせ俺は低い点数なんだろうよ。

そして、またバカにされるんだろうよ。

〈はぁーい。前回したプリントを返していくぞー。呼ばれたら取り来いよ。〉

【はぁーい。】

〈松元萌々花ぁー(momoka matsumoto)。はい、がんばったな。じゃあ次、宮下朔斗ぉー(sakuto miyasita)。〉

名前を呼ばれた俺は、重い足取りで、プリントを取りに行った。

そこには、先生の汚い字で、21点と書かれていた。

はぁー。

俺は、不貞腐れて、外に咲いていたもみじを眺めていたら、誰かに肩をつつかれた。

〈朔斗ぉ〜!何点だった?〉

そこには、にっこりとした笑顔の‪愛華(manaka)がいた。

愛華はいつも俺に点数を聞いてくる。

『はぁ?言うわけねぇーじゃん。』

〈教えてくれてもいいじゃん!〉

愛華は、ポニーテールを揺らしながら、俺の服をつかんで、首をかしげていた。

『めんどくせぇな。』

俺は正直、愛華に塩対応しないで、喋りたいけど、どうしてもいろいろなものが邪魔してくる。

そんな俺はツンデレなのだろうか。

〈え!見せてくれるの!?ありがとっ!〉

俺は黙って、愛華にテストを見せた。

〈ふふふ。朔斗くんより点数たかかったぁー!やったぁー!〉

はぁ。

そんな大きな声で言うなよ、そう言いたかったけど、愛華がかわいい笑顔を浮かべていたから言えなかった。


#ももかside

ホントに女って怖い



ふぅー

よかった!

テスト90点以上で!

〈ふふふ。朔斗くんより点数たかかったぁー!やったぁー!〉

はぁ。

ホントに愛華ちゃんは朔斗くんのこと大好きだなぁー。

あんなにぶりっ子なのに気づかない朔斗くんにもイライラしてくる。

〈もも〜!一緒トイレ行こ?〉

「うん。いこ。」

〈どうした?ご機嫌ななめ?〉

気づかれてしまった。

普通通りにしようと心がけてたのに。

「ううん。なんでもないよ。それよりトイレいこ?」

〈うん。〉

私たちは、前髪を整えるために、佳穂と一緒にトイレに行った。

〈ねぇー!愛華ってウザくない?〉

〈それな〜。うちも思ってた!〉