そー…
かすかな音を頼りに奥の、隅の方を見た。
ドキッ─────
そこにいたのは…
───久野充美…
ドクン
ドクン
胸が高鳴る…。
ドクン
「きれい…だ…」
彼女は図書室の隅の本棚に寄りかかるように、床にだらしなく座っていた。
いつも一つに縛っている長い髪は、ほどかれて床に広がっていた。
いつも前髪で見えなかった、彼女の顔は…
夕日が当たって
いや当たってなくてもが正しいだろう…
すごく
きれいだった…
入学式の時の桜なんて比べものにならないくらいきれいで…
肌は透き通るほど白く、
唇はふっくらして、深紅の薔薇の花びらのようだ。
その頬はうっすらピンク色で、
100人中100人が
美少女と答えるだろう。