「あれ、また会った」
 数日後の放課後。
 保健室で、わたしはまたその男子と顔を合わせた。
「こんにちは」
 ベッドから身体を起こし、あわてて髪型を整える。
「キミ、どっか悪いの? ちょくちょくここにいるよね。まさか、不治の病とか?」
 心配そうにわたしの顔をのぞきこむ男子。
 くっきりとキレイな瞳に見つめられて、思わず顔がぽうっと赤くなる。
「そ、そこまでじゃないんですけど! ちょっと持病があって――」
 ざっくりと自分の病気のことを説明すると、
「ふーん、大変だな。こういうときにつくづく思うよ。元気って分けてあげられたらいいのにって。オレ、体力だけはあり余ってるからさ」
 と、わたしのおでこにそっと手をふれた。
 わわっ、あたたかい手。
 鏡見てないけど、さらに顔が真っ赤になっちゃったかも。
「あの、あなたは?」
「オレ? 二年一組の、白鴎 駿(ルビ・はくおう しゅん)」
「白鴎……先輩」
 やっぱり年上だったんだ。
 こんなにモデルさんみたいにスラッとしててカッコいいひと、なかなかまわりで見たことがないよ。
「キミの名前は?」
「鳥海 しずくって言います。一年一組です」
「しずくちゃんか、ヨロシク。オレ、陸上部なんだ。走るのめっちゃ好きでさ。今度の体育祭でもリレー出るから、つい張り切っちゃって。そんでつい走りすぎて足に負担かけんの。バカみたいだろ?」
 クスッと先輩は笑った。
 だから、しょっちゅう保健室で足のケアをしているのだという。