いけない、さっき、応援はりきりすぎたせいで貧血起こしちゃったかな。
「おっと、大丈夫?」
 ふらつくわたしを、ギュッと先輩が抱きとめた。
「ゴメンなさい! わたし、先輩におめでとうって言いにきたのに」
 どうしよう、かえって迷惑かけちゃった。
 わたしはすぐに先輩から離れようとしたけど、先輩はわたしを抱きしめたまま、
「ありがとう。ちゃんと届いたよ。しずくちゃんの応援。おかげで一位になれた」
 と、耳元でささやいた。
 え……?
 顔をあげると、先輩はとびきりの笑顔を浮かべていて。
 わたしも力になれたの?
 先輩のこと、少しでも支えることができたのかな――?
「あの、白鴎先輩」
 うるさすぎるくらいドキドキがおさまらないなか、わたしはやっとのことで口を開いた。
「なに?」
「わたし、これからもずっと先輩のそばにいたいです。わずかでもいいから、先輩の力になりたい。先輩の支えになりたいんです!」
 こみあげてきた想いを伝えると、先輩は、ポッと顔を赤く染めた。
「まいったな……」
「す、すみません! 迷惑でしたか?」
 ワタワタととまどっているわたしの頭を、先輩は大きな手でフワッとなでながら、
「その言葉、オレがしずくちゃんに伝えようと思ったのに。まんまと先越されちゃったな」
 と、いたずらっぽく笑ってみせた。

 おわり