先輩は二位までのぼりつめ、一位の選手と接戦をくり広げている。
 ゴールはもう目前。
 あと少し、あと少しで先輩が追い越せるのに。
 ほんのわずかでも、わたしが、先輩の力になれたら……!
「先輩! 白鴎先輩、がんばれーっ!」
 心の底から想いをこめて叫んだそのとき。
 先輩が、サッと先頭におどり出てゴールテープを切った。
「一位は、二年一組! 二年一組です!」
 アナウンスが流れると同時に、二年一組から歓声がわき起こる。
「白鴎、やったな!」
「見事な大逆転だったよ、ありがとう!」
 先輩……ほんとうに一位でゴールしたんだ。
 あんなにたいへんな状況だったのに。
 わたしに言ってたとおり、しっかり一位をとってみせたんだ。
「先輩!」
 胸の奥からうれしさと感動があふれてきて、いてもたってもいられなくなったわたしは、先輩のそばにかけ寄った。
「しずくちゃん!」
「あの、一位おめでとうございます。わたし……」
 不意に視界がぐらついた。