体育祭二日目。
「次は、クラス対抗リレーです。参加するみなさんは準備をおねがいします」
 アナウンスが流れた。
 いよいよだ、先輩の出番。
 えっと、二年一組は――。
 あっ、あそこだ。赤いハチマキしてる。
 背がスラッとしてるから、大勢のなかにいてもよく分かるな。
 いつ見てもカッコいい……。
 って、ポーッとしてちゃダメダメ!
 ちゃんと応援しなくっちゃ。

 二年のクラス対抗リレーが始まった。
 二年一組は現在三位。
 先輩はアンカーみたい。
 二年一組のひとたち、みんな走るの早いし、このままいいペースで、最後までつなげられそう。
 そう思ってたんだけど……。
 いよいよリレーも終盤にさしかかったそのとき。
「うわっ!」
 選手同士が接触して、何人かの選手が次々と転倒した。
 そのなかには二年一組のひともいて。
 三位をキープしていたのに、別のクラスの選手にどんどん追い抜かれていった。
 それでもなんとか懸命に走りきり、先輩にバトンをつないだ。
 現在の二年一組の順位は、六組中五位。
 だけど、先輩は動揺するどころか、頼りがいのある笑みを浮かべていて。
 合図とともに、さっそうとトラックを駆け抜けていく。
「わぁ……!」
 なんてスピード。まるで風みたい。
 先輩はあっという間に前の選手を追い越し、さらに前の選手に近づいていく。
 すごい、すごい。胸が熱く、ドキドキしてきた。