リオンが熱を出した。

澪さんからそう連絡が来たとき、俺はまあそうだろうな、と思った。

以前にも一度、仕事のしすぎでリオンが倒れた時があった。

リオンは俺たちの中で最年少でありながら、一番の努力家だ。

ファンのみんな、俺たち、関係者の人たちを楽しませるため、恩返しをするため、

どんな仕事でも受ける。

そんなリオンは俺はメンバーとして好きだ。

尊敬している。

でも、問題なのは……リオンがメンバーを…俺を頼ってくれないこと。

俺はこれでもトワイライトのリーダーなのに、頼ってくれない。

辛いことを全部隠してしまう。

それがリオンだ。

それなのに、それなのに……俺の頭に、ぎこちない笑みを浮かべている喫茶店の女の子の

顔が思い浮かぶ。

最近知り合った澪さんには、頼るんだよな、リオン……。

そして、そんなリオンが……俺は嫌いだ。



「俺、そんなに頼りないのか……?」

喫茶いづみの前でつぶやいた俺の言葉は、誰にも届くことなく、暗い闇に吸いこまれていった。