芸能人の行きつけの喫茶店 ~アイドルの話~

そんなことを思いながら綾瀬くんを追うように教室を出る。

あ、今日は誰がお店に来るんだっけ……?

午後からは確か……あ、アイドルグループか。

えーっと……えっ、トワイライトっ⁉︎

スマホでお客さんの確認をすると、そんな名前が出てくる。

トワイライトと言うのは、芸能人をあまり知らない私でも知っている有名な四人組アイドルグループ。

リーダーの宗がメンバーを集めて、ラップが得意な優吾、作詞作曲をしているマシオ、そして圧倒的歌唱力の持ち主、リオン。

リオン以外の全員は大学生で、リオンは高校生……だったはず。

歌が上手いだけじゃなく、メンバーみんなイケメンでダンスも上手い。

そういうところがファンの人を虜にしているんだと思う。

「あのすみません……」

詳しいことを知らべようと検索サイトを開くと、後ろから声をかけられて振り向く。

「道に迷ってしまって。喫茶いずみってところに行きたいんですけど……」

そこには、帽子を深くかぶり、黒マスクをしている男の人がスマホを片手に立っていた。

明らかに怪しい格好をしているその人は、マスク越しにでもわかるくらい困った顔をしている。

「あ、そこなら私の家なので、案内しますよ?」

「本当ですか⁉︎助かります」

不安そうだった顔は安堵の表情に変わって、マスクを付けていてもニコニコしていることがわかる。

今日、このタイミングでうちに来ようとしてて、わざと顔が隠れるように大きめの帽子をかぶってるってことはもしかして……。

「あの……違ってたらすみません。リオンですか?トワイライトの」

好奇心に負けてなんとなくそう聞いてみると、男の人は驚いたのか、危うくスマホを落としそうになっていた。

「えっ⁉︎な、なんでわかったんですか……も、もしかして変装がちゃんとできてなかった……⁉︎」

どうしよう、宗に殺されるっ!とあたふたしている姿を見て、確信と同時に申し訳なくなった。

「すみません、困らせるつもりはないんです。今日はトワイライトしか予約が入ってなかったので、そうかなって思っただけですし……」