芸能人の行きつけの喫茶店 ~アイドルの話~

「リオンっ、風邪引いたんだって⁉︎」

「大丈夫っ?」

仕事終わりに急いで駆けつけたのか、優吾さんとマシオさんが息を切らしながらお店に入ってくる。

「優吾にマシオ。もう大丈夫だよ、澪ちゃんに看病してもらったから」

「澪さん、本当にありがとね」

みんなの分のお昼ご飯を用意してくれていた宗さんがトレイを持って戻ってくる。

「すみませんっ、ご飯の用意してもらっちゃって……」

いいんだよ、これくらい。と言って笑ってくれている宗さんだけど、笑顔に影が見える。

……疲れてる、のかな……?

少し気になったけど、宗さんがあまり聞いて欲しくなさそうにしているように見えて、言葉を飲み込む。

翌日、目が覚めるとリオンはすっかり良くなっていた。

でも、今日は念のため一日お休み。

「そういえば宗さん、昨日はいつここに着いたんですか?」

「え?」

みんなでご飯を囲んで食べていると、ふと気になって聞いてみる。

宗さんは、私が電話をした後、すぐに駆けつけてくれたみたいだけど、朝、お店に降りて行くまで来ていたことに気が付かなかった。

もし一晩中ほったらかしにしてしまっていたのなら申し訳ない……。

「じ、実は、あの後すぐには抜けられなくて……くるのが早朝になっちゃったんだよね……あはは……」

あ、怪しい……。

明らかに何かを隠している様子で笑う宗さん。

でも、追求するのは失礼な感じがして、やめておいた。

「さぁて、一日休みもらっちゃったわけだし、溜めてたマンガでも読もうかな」

リュックからリオンが取り出したマンガの山を見つけて、私は喉からひぇ……と声が絞りでる。

「わざわざ家に帰ったと思ったら、それを取りに行ってたの?」

飾り付けに使えるものとかだけで良かったんだけど……。

もしかして、手伝う気ないな、こやつ……。

……まあいいか。

「うん!いいでしょ?澪も読む?」

「え、遠慮しとこうかな……」

「えぇ〜、そう?」

そう言いながらも、もうすでにマンガの世界に入り込んでいるリオンは置いておいて、残りのメンバーだけで話し始める。

「じゃあ僕も少しゆっくりしていこうかな」

「そうだな、俺も今日一日暇だし、リオンに漫画でも借りるかぁ」

「え?そうなの?だったら俺も———」

「「「いいやっ!宗さん/宗はすることあるんじゃない⁉︎」」」

あぁ……やっちゃったかも……。

不自然なほど揃ったリオンと宗さん以外の声。

「え?」

怪訝そうな顔をしている宗さんの顔を見てそう痛感する。

「い、いやぁ、あれだ。あのぉ……」

必死に何かを言おうとしているけど、何も思いついてなさそうな優吾さんに代わって、マシオさんが引き継ぐ。

「リ、リーダーは帰ってすることがあるんじゃないかなぁって……」

「いや、特にないけど……」

特になかった……っ!

「で、でもっ、リーダーって忙しいと思うし、ゆっくり休める日があるなら、休んだほうがいいんじゃないかなぁ……?」

立て続けにマシオさんがそう言うと、宗さんは、確かに最近寝れてないけど……と呟く。