「み〜お〜、カラオケ行かない?」

「のんちゃんっ!ごめんね、今日も家の

手伝いしなきゃいけないんだ」

「そっかぁ〜、また今度行こうね!」

「うん。誘ってくれてありがとう!」

他のクラスメイトと教室を出て行く

のんちゃんを、手を振って見送る。

のんちゃんは中学校からのお友達で、

お姉ちゃんのような存在。

高校に入学してから三ヶ月も経っているのに、

クラスに馴染めていない私を気にかけて

くれている。

「楠木、あのんは……」

「カラオケに行ったよ。男の子も何人か

いたけど……」

「まじかっ!ちょ、俺行ってくるわ!」

「行ってらしゃい」

綾瀬くん、のんちゃんのこと本当に好き

なんだなぁ……。

大急ぎで教室を出て行く綾瀬くんをみて、

改めて実感する。

綾瀬くんも中学からの仲で、のんちゃんの幼馴染。

なぜかわからないけど綾瀬くんはよく私に

恋の相談をしてくれる。

のんちゃんも、気が付いてないみたい

だったしなぁ……。