芸能人の行きつけの喫茶店 ~アイドルの話~

あいにく、両親は買い物に出かけていていないから、私が風邪を引いた時にしてくれるように、リオンにも同じことをする。

あとは……宗さんに連絡しないと。

忙しいかもしれないけど、リーダーの宗さんには一番最初に言うべきだと思って、そばに置いてあったスマホを手に取って電話をかける。

トワイライトの連絡先は、リオンが何かあった時のために、と言ってほぼ強制的に交換させられた。

まあ、それが今役立っているんだから、良かったのかもしれないけど……。

『もしもし、宗です』

「お、お疲れ様です、喫茶いづみの澪です」

『あぁ、澪さん。どうかしたの?』

何かの撮影をしているのか、スマホからいろんな音が聞こえてくる。

うぅ……電話じゃなくてメッセージにしたら良かった……。

「リオンが、うちに来てるんですけど、さっき四十度の高熱が出てしまって……」

『えっ、リオンが⁉︎……すぐにそっちに向かうね。悪いけど、時間がかかるもしれないからそれまでリオンを頼んでもいい?』

「任せてください!」

そう行って通話を切ると、リオンが起きた時のためのお粥を作りに台所へ向かった。

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それにしても……リオン、体調が悪くなるまで活動してたのかな……?

できたお粥をお皿に盛り付けて、トレーに乗せながらふとそんなことを考えてしまう。

リオンは、企画動画などで罰ゲームにあたっても、少ししか文句を言わず、しっかり罰ゲームをしてしまうところがある。

リオンのことだから、しんどくてもしんどいと言えなかったんだろう。

……甘えん坊なくせに無理するところがあるからなぁ。

ドサッ——

「……っ、今の音って……!」

二階から何かが落ちる音がして、慌てて階段を駆け上って扉を開ける。

すると、案の定ベッドのそばでリオンが倒れていて、慌てて駆け寄る。

「リオンっ、大丈夫⁉︎」

体を支えてあげると、リオンは綺麗な頬に涙を流して申し訳なさそうに荒い呼吸を抑えながら私に向かって謝ってくる。

「ごっ……め……み、お……」

よっぽどしんどいのか、ちゃんと言葉を発せいていない。

「私はいいから、ちゃんと寝てなよ?」

「……ん」