芸能人の行きつけの喫茶店 ~アイドルの話~

それからメンバーのみんなは、平日は夕方にお店に入り浸って、休日は事務所でダンス練習をするという日々を過ごしていた。

……まあ、私はただ見てるだけだったけど……。

ただでさえ忙しそうなのに、リオンはライブの練習に加えて、テレビ番組の出演、ドラマの撮影など、他にもしごとが盛りだくさんで、よくお店に来てはすぐに眠ってしまっていた。

「ねえリオン、寝不足ならお店には来ないで家出寝た方がいいんじゃない?せっかく寝られる時間をお店で過ごしてたら勿体無いと思うんだけど……」

「ん……いいの……ここの方が、落ち着く……」

今日も、メンバーは来ていないけどリオンだけは来ていて、自宅から持ってきたクッションを抱え、背もたれにもたれて目を閉じていた。

嬉しいんだか、そうじゃないんだか……。

またすぐに眠ってしまったリオンを見て、クスッと笑ってしまう。

……すごいなぁ、リオンは。

苦手な勉強を頑張りながら、ファンの人に楽しんでもらえるように笑顔を絶やさず、陰で努力を重ねる。

そんなリオンを、いつしか私は———。

あれ?

その先に辿り着く前に、私はリオンに違和感を感じる。

……顔が、少し赤い……?

恐る恐る額に手を当てると、明らかに熱が出ているだろうとわかるくらい熱かった。

よくよく見てみると、熱でうなされているのか、眉間に皺もよっている。

大変!

急いで体温計を持ってきて、熱を測ると四十度もの熱があった。

「リ、リオン、二階に運ぶねっ!」

聞こえているのか分からないけど、一応そう言ってリオンを支えながら立ち上がらせる。

私の部屋……でいいのかな?

他に部屋ないし……。

……え、いいのかな?

そんな疑問が頭をよぎったけど、背中に感じるりおんの呼吸が荒いのに気がついて、頭を振る。

今はそんなこと考えてる暇はないんだからっ!

         +  +  +

「……よしっ、こんな感じでいいのかな」