不器用な神野くんの一途な溺愛



「 (綺麗……っ) 」


目の前には、たくさんのアジサイ。そのお花畑が、花壇いっぱいに広がっていた。

校舎に沿った数メートルの間に、ピンク、青、紫……満開のアジサイが、咲き乱れている。


「す、ご……っ」


迫力ある光景に、思わず目を奪われた。

てっきり保健室に到着したと思っていたから……ビックリ。


「 (こんな素敵な所が、あったんだ) 」


固まったままの私を見て、希春先輩が、


「あ、驚いてるね?」


と、得意そうに私を見た。


「ここはね、ちょっと特別な場所なんだ。

今年から美化委員が季節ごとに花を植える計画をしていてね。あ、ここはまだ試作品。だからね、」


関係者以外は、立ち入り禁止なんだ――


私の耳に顔を近づけて、内緒話をする希春先輩。

ち、近いっ!


「あ、ぅっ……」

「おっと、ごめんね」


私の異変に気づいた希春先輩が、ひょいっと距離をとる。

そして、


ポンッ


私の頭に、優しく手を置いた。そして、労わるように撫でてくれる。

温かな体温に、ホッと安心して力が抜けた。