不器用な神野くんの一途な溺愛

泣いてる事を神野くんに知られたら、今度はなんて言われるか分からないよ……。

隠さなきゃ……っ。


「 (髪の毛で隠そう。泣いてるのがバレませんように……っ) 」


だけど私の安易な考えは、「2人」の声によって粉砕された。


「お前、泣いて、」

「副委員長、ちょっとタンマ」


一方の声は……戸惑いながら、ゆっくりと、私の頬に手を伸ばした。それは、神野くん。

そして、もう一方の声の人は――


ギュッ


「莉子ちゃんに、触らないでくれるかな」

「な!」


希春先輩だった。


希春先輩は自分の制服が濡れることも厭わず、私の目を、腕で隠してくれた。そして「何事か」と私たちに注目する皆に向かって、ニコリとほほ笑む。


「体調不良の子がいるから保健室に送ってくるね。

ごめん副委員長〜少しの間、頼んだよ」

「ちょっと委員長!」

「行くよ、莉子ちゃん」



希春先輩は、もう片方の手で私の肩をグイッと引き寄せ、目隠ししたままの私を誘導してくれた。


その時。私の目を覆っていた腕から、少しだけ神野くんが見える。

その時の、彼の顔は――


「 (すごく怒ってる……っ)」


誰もが凍りつきそうな怖い顔。

さらに鋭くなった目は、こちらを見て睨んでいるようだった。