ズキッ


それは、まさに地獄の瞬間。

心がズキズキと傷み、悲鳴を上げる。



「 (人形……っ) 」



人形は恋なんて出来ない。

そうだよ、分かってるよ……。


希春先輩のことは、好きではないと思う。恋とは、違う。

そう思ってる、だけど――


これから先も、私は「人形だから恋が出来ない」のかと思うと、普通の女の子として生きていけないのかと思うと……辛い。

だから、改めて神野くんに、その事実を指摘されて……悲しくて、心にポッカリと穴が空いた。


「 (さっきコケた時よりも、何倍も何百倍も……痛くて、ツラい)」


そう思った瞬間。

目からパタッと、一筋の涙が零れる。


「 (あ、うそ……っ) 」


泣いたら、ダメなのに……っ。