不器用な神野くんの一途な溺愛

カラスが空を舞う。さっきのスズメとは違い、ぐんぐん山の方に飛んで行った。

小野宮とそれを見届けて、そして、ついに小野宮がその重たい口を開く――



「私、一度だけ……辛くて、どうしようもなくて……大泣きしたことが、あるの」

「いつ」

「恥ずかしいんだけど、三か月前」

「結構最近だな」



正直に言うと、小野宮は長い髪を耳にかけながら「そうなの」と情けなく笑った。



「思い出すと、悲しくなるから……今まで、ずっと蓋をしてた。もう、自分の中では、なかったことにしようって……でも、やっぱりできなかった。なかったことにするって言うのは、神野くんに、すごく失礼な事だって……この前、気づかされたの」

「俺に?俺が関係してるって事か?」



小野宮は頷く。