「(いつから私、こんなはしたない子になっちゃったんだろう……っ!?)」
この気持ちは神野くんに気づかれてはいけないことを、何となく悟った私。なんか、バレたらもっと危ない事を神野くんにされそうで……今は胸の内にしまっておくことにする。
「よし」パンパンと顔をたたいて、緩んだ顔を元に戻す。
そして「早くしろよ」と手を出してくれる神野くんを慌てて追いかけ、その手を握った。
「か、階段を、降りるまでだからね!皆に見つかる前に、離してね……っ」
「へーへー」
そんな私たちの会話を、下にいるお母さんとおばあちゃんがニヤニヤ聞いていたのを、私だけが知らないのだった――