不器用な神野くんの一途な溺愛

「ちょっと待っててね」


そう言い残して私から離れた希春先輩が、少しして戻ってきた時――その手には、二本のジュースが握られていた。


「お疲れ様、どうぞ」

「あ、ありがと、ござ、ます……」


受け取ると、ひんやり気持ちいい。

暑さからの開放感に、私の顔はだらしなく笑ってしまう。


「あ、お、お金……っ」


財布を出そうと、急いでポケットに手を入れようとすると……


パシッ


希春先輩に、腕を掴まれてしまう。


「奢りだからいいよ。気にせず飲んでね」

「で、でも……」

「本当にいいんだ。ごめんね、の気持ちも入ってるから」

「ごめ、んね……?」


意味の分かっていない私を見て希春先輩は申し訳なさそうに笑い、自分の顔の前で両手を合わせた。