不器用な神野くんの一途な溺愛

前と同じ場所を歩いていると、色んなことを思い出す。

スピードが速い車に水溜まりの水を掛けられたこと、神野くんに抱きしめられたこと。

それに、キスも……。


「 (もう、考えるの禁止!) 」


暑さも手伝って、私の顔はカッと赤く、そして熱くなった。

いつものように手をパタパタさせていると……


「小野宮」


後ろから、私を呼ぶ声――


「(神野くん!) 」


急いで後ろを振り返る。

やっと来た!
サボるのかと思った!

心配した、会いたかったんだよ。
私、お礼を伝えたくて――


何を言おうか、頭にたくさんの言葉が浮かぶ。

だけど、そこにいたのは、


「やぁ、莉子ちゃん」

「き、はる……せん、ぱい……?」

「うん、ビックリさせてごめんね。初めて苗字で呼んでみちゃった!」


神野くんと同じ苗字を持つ、希春先輩。

その姿を見て、私は初めて、自分が勘違いしていることに気づいた。