「けどばーちゃん、俺思うんだけど」

「なんじゃ」

「小野宮にはもちろん喋れるよーになってほしいけどな……まぁ、そのままでもいいかなとも思うぜ俺は。

だって小野宮――


今のままでも充分かわいーだろ? どんな小野宮だって俺はもらい受けたいからさ、早く孫離れしとけよな、ばーちゃん」


それだけ残して、小野宮家を後にする。

残ったばーちゃんが泣いてたとか、実は起きてた小野宮が部屋を出て話をこっそり聞いてたとか、そんなことは一切知らないまま学校へ戻る。



「あ、ばーちゃんに“ 俺の連絡先を小野宮に送っといて”ってメールしとかねーとな」



職員室に呼び出されてるってのは気に食わねーけど、小野宮とメールできる期待の方が大きい。

とはいっても……

職員室で聞かされた話はやっぱり面倒くさくて、



「は!? なんで俺が!?」

「頼むよ〜神野〜! もうお母さんには許可を取ってあるんだ!」

「(あのくそババア……!)」



その後ばーちゃんにメールするのを、すっかり忘れてしまっていた。




*神野 斗真*end