特に私を合コンへ連れていった先輩は、敦志ではない男性と婚約した事にビックリしていた。
その先輩だけには事の経緯を休憩時間に話をした。

「沙緒里ちゃん。そうだったの…何も知らなくてごめんね。あんなに熱烈アプローチしてた東川さんだったのに〜 」

「私も初彼で舞い上がってたから気づくまで2年もかかっちゃったんですよ」

「でも、婚約者の彼はどんな人なの?」

「同級生です。10年ぶりに病院で再会したんです。」

「え、彼は病気なの?」

「いえ、お父さんが心臓の手術をされたからたまたま病院に来てて…」

「心臓? 最近の患者さん?」

「戸山さんです」

「え!あの個室だった戸山さん?」

「個室までは知りませんが、戸山さんの息子である一郎くんと婚約しました。」

「沙緒里ちゃん、玉の輿じゃん! 息子さんて体が大きなマッチョのイケメンでしょう?」

「たぶん、そうです」

「きゃ〜!! おめでとう。彼なら大丈夫よ!」

「え?」

「戸山さんご家族は、看護師たちにも謙虚でね〜あの大きな建設会社の社長さんなのに本当にいいご家族だったもん! 
良かったねいいお家に嫁ぐ事になって。
これで安心した〜。おめでとう沙緒里ちゃん」と先輩はまるでスキップするかのように心臓外科のナースステーションへ戻って行った。