やっぱり中身で勝負

沙緒里が作ったお弁当を豪快に食べていく一郎。
一郎の食べっぷりに呆気にとられながらも美味しそうに食べている一郎の姿に微笑ましく思えた沙緒里。

「あ、寺田さんごめん。寺田さんはおにぎりしかまだ食べてないのに、オレこんなに食っちゃった。」

と申し訳なさそうにしている一郎。

「ハハハ。やっぱり体育会系男子の食欲は凄いんだね！　これでも多めに作ったつもりだったけど、戸山くんには足りなかったね。ごめんなさい。
私はこのおにぎりと唐揚げ1個くらいで大丈夫だから、もし良かったら全部平らげてよ。ね！」

「本当にごめん。これはまだ手をつけてないから寺田さんの皿にわけてよ」

「ありがとう。ふふふ。」

「いや〜だってさ〜、マジで全部美味いからさ〜
お言葉に甘えて全部平らげるぞ！」

「うん。そうしてくれたら作ってきた甲斐があるってもんだもん！」
2人で顔を見合わせて笑った。
そして沙緒里は、一郎の笑顔は太陽のようだと思った。

「あ〜！！　イチローコーチが彼女とご飯たべてる〜〜！！！」

「「「ああ〜イチローコーチだ！！」」」

「ヤベェ〜アイツらに見つかった…」

沙緒里も子ども達の声がする方へ振り返った。

「「イチローコーチ！！」」と何人かがこちらへ突進してきた。

「ショウ！　お母さんは？」

「あっちにいるよ。」と戸山くんの横までやってきたショウくん。

「マサトもかよ〜」

「皆んなに報告するんだ！」

「報告はしなくてもいい！」

「え〜。イチローコーチの彼女がどんな人か皆んなに質問されるからさ〜」

「そんなの答えなくていいんだよ。お前らメシ食ったのか？」

「「もう食べました。」」

「じゃあ、俺らはまだ食べてる途中だから、あっちに行ってくれよ」

「ここに居る」

「ショウ！！」

「あ、ショウのお母さんが呼んでるぞ！」

「ちぇっ！　せっかくイチローコーチの彼女とお話ししようと思ったのに〜」

「ほら、マサトも行けよ。な！」

2人は渋々母親のもとへ戻って行った。