(とてつもなく長い2日感だった……)


 クラルテが押しかけてきた二日後のこと、俺は休暇を終えて通常勤務に戻った。

 その間、屋敷やクラルテの荷物を片付けたり、使用人の手配をしたり(クラルテは不要だと主張していたが必死に押し切った)、二人でお茶をしたり、食事のための買い出しをしてみたり……普段は絶対にしないことばかりしたものだから、妙に疲れてしまったのだ。


(しかし、充実していた)


 休暇を眠る・食べる以外のことに使ったのは久しぶりだ。クラルテの作る食事は本当に美味しかったし、あの子の話を聞いていると面白い。よくもまあ、あんなに口がまわるというか……話題が尽きないものだと感心してしまう。


『旦那様が好きな食べ物は? 色は? 場所は? 本は? 動物は? 天気は? 同僚は? 趣味は? 特技は? etc...』


 そんなこと、普段の生活で意識したことがない。尋ねられてはじめて考え、答えてみた。そのたびにクラルテはとても嬉しそうに微笑み、俺のことを受け入れてくれる。どんな回答でも、彼女は俺を急かしたり否定したり嫌がったりしない。なんだか心が温かくなった。