「どこから話せばいいのやら……正直、クラルテがザマスコッチに言って聞かせたことがすべてなんだけど」


 今回、プレヤさんは倉庫のなかに『目』と『耳』となる魔法を多数仕込んでおりました。つまり、わたくしとザマスコッチ子爵の会話はハルト様たちに筒抜けだったわけです。
 これなら現行犯逮捕に加え、証拠もバッチリ押さえたことになるので、言い逃れは絶対にできません。逃がすつもり、ありませんしね!


「俺が聞きたいのは、どうして! クラルテがこんな役回りをすることになったのかってことなんです!」


ハルト様が怒ります。こんなときになんですが、ちょっぴり嬉しいです。本気で心配してくださってたんですね……。


「だって、クラルテったらザマスコッチから保険の勧誘を受けたって言うし。おまけに口説かれかけたって言うからさ。この状況を使わない手はないなぁって思って」

「だからってこんなこと! クラルテが危ない目にあうじゃないですか!」

「そう言うと思ったから、おまえには内緒にしてたんだよ。ね、クラルテ」


 あっ、このタイミングでこっちに話を振っちゃいます? 矛先こっちに変えちゃいます? まったく、プレヤさんはなかなかに酷い人です。

 とはいえ、ハルト様も怒りで興奮していらっしゃいますし、このへんで一つ落ち着いていただかなくてはなりません。