『もしもわたくしがロザリンデさんとお目にかかる機会があれば、大いに懲らしめてやりますのに!』


 クラルテの表情と、過去のセリフと、今の状況とが重なり合う。俺は思わず吹き出しそうになってしまった。


「あっ、あなた……! 今の、わざとやったでしょう?」

「え〜〜、こんなこと、わざとするはずがないじゃありませんか!」


 そう言いつつ、クラルテはちゃっかり俺の腕に抱きついてくる。……独占欲が丸出しだ。俺は思わずクラルテを撫でながら、彼女をぐっと抱き寄せた。


「嘘をおっしゃい! あなた、あたしがハルトと話しているのが気に食わないんでしょう?」

「ええ、そりゃあ気に食いませんよ。だって、ハルト様はわたくしの婚約者ですもの。とっても大好きな人ですもの。浮気者の元婚約者であるあなたとなんてお話してほしくありません」


 ムッと唇を尖らせて、クラルテがことさら俺の腕にしがみついてくる。こんなときだというのに……あまりにも可愛い。本音を言えば、今すぐ俺の部屋に連れて帰りたいところだ。