「ロザリンデか……?」

「そうよ。あなたの人生に登場するこんなにも美しい女性なんて、あたし以外いないでしょう?」


 ロザリンデはそう言って、ふんと大きく鼻を鳴らした。


(……この人はどうしてこんなに自信満々でいられるのだろう?)


 ――失礼だとは思いつつ、俺は首を傾げてしまう。

 そもそも、彼女はこんな顔だっただろうか――そう思ってしまうほど、俺のなかのロザリンデの印象は薄い。
 それに、先程ロザリンデは『こんなにも美しい』と自称したが、顔の形が整っているというだけ。ドレスも宝飾品も高価であることは疑いようがないが、どこか下品で浮いて見える。美しいとは思えないのだ。


「なんとか言ったらどうなのよ」

「ならば遠慮なく。俺にとってはクラルテがこそ唯一無二。美しい女性というなら、彼女をおいて他には考えられない」

「なっ……!」


 促されるままに本音を吐けば、ロザリンデは大きく目を見開いた。