「……俺も同じだよ。なにがあっても、クラルテのいない生活なんて考えられない」


 ハルト様はそう言って、わたくしの手をギュッと握ります。たったそれだけのことなのに、胸がキュンと高鳴ってしまいました。


「クラルテが兄さんたちになにを言ったかはわからないけど、もし万が一別れろって言われても、俺はクラルテと離れる気はないよ。だから……」

「本当ですか?」


 食い気味に尋ねれば、ハルト様は目を細めて笑います。


「クラルテも、まだまだ俺のことがわかってないなぁ」


 そう言ってハルト様は、わたくしの指先に触れるだけのキスをします。あまりのことに、わたくしは席からずり落ちそうになってしまいました。


「ハルト様!?」


 ここ、お店ですよ! 真っ昼間! 公衆の面前です!
 というか、わたくしならまだしも、ハルト様がこういう場所でこういうことをするなんて、一体誰が想像できます? (わたくしには無理でしたよ!)


「なにがあっても大丈夫。クラルテのことは俺が守る。だから、安心して俺についてきて?」


 ハルト様の言葉が、瞳がとても力強くて、思わず涙が込み上げます。本当に、これから先わたくしたちが離れることはないって――そう確信できたから。


「はい」


 色々考えて悩むのは潔くやめましょう! わたくしはハルト様と微笑み合うのでした。