クラルテのドレスと俺の夜会服を購入したあとは、カフェでゆっくりと休憩することにした。クラルテはフルーツがたっぷりのったタルトを、俺はチョコレートケーキを注文して、二人で分け合いながら食べる。とても幸せなひとときだ。


(しかし、夜までまだ時間があるな……)


 夕食はレストランを予約してある。夜景が見えると評判の人気店だ。料理も美味しくロマンチックで、プロポーズをするのに最適だとプレヤさんからも太鼓判を押されている。

 だけど、緊張のあまり、段々と指先が冷たくなってきた。いっそのこと、早く言ってしまいたい――が、それではダメだと厳しく指導されている。求婚を適当に済ませた場合、相手は自分が『適当な存在』だと認識してしまうし、仮にOKをもらえたとしても一生根に持つのだそうだ。