「それに、プレヤさんから『牽制が大事』だと助言を受けている。クラルテは男どもに人気だから、二人でそういう場に出席することも効果がある……と思いたい」


 言いながら、心臓が大きく鳴り響く。
 突然こんなことを言われて、クラルテはどう思うだろうか? 嫌じゃないだろうか? 戸惑ったりしないだろうか? 男のくせに嫉妬なんてみっともないと、思われたくはないのだが……。


「――――こんなに期待させて、大丈夫なんですか?」


 やがて返ってきた言葉は、ほんの少しだけ震えているように聞こえた。見れば、クラルテは唇を引き結び、ほんのりと目を潤ませている。


「わたくし、だ……ハルト様のことが大好きなんですよ! 本当に本当に大好きなんですよ!」

「……ああ、知ってるよ」


 本当に。あまりにも真っ直ぐすぎて、もはや疑いようがない。


(俺も同じだから)


 ポケットのなかにしまった小箱をそっと握りつつ、俺は思わず苦笑した。