(朝か……)


 カーテンから漏れる日の光にぼんやりと目をこする。
 昨夜は緊張のあまり、よく眠れなかった。寝よう寝ようと思っては、あれこれ考え事をしてしまい、意識が覚醒してしまったのだ。


(本当に大丈夫だろうか……)


 プレヤさんにも助言をもらいながら何度も何度もシミュレーションをしたというのに、未だに不安にかられてしまう。

 俺は生まれてこの方、女性をデートに誘ったことなどない。ロザリンデと婚約していたときでさえ、一度もないのだ。
 だから、どうしたら女性が喜ぶのか、楽しいと思ってもらえるのか、まったくもってわからない。


 もしもクラルテが『つまらない』と感じたら――俺に愛想をつかしたらと思うとかなり怖い。一緒に暮らしはじめてほんの二ヶ月程度だが、もはや彼女なしの生活は俺には考えられないのだ。
 きっとロザリンデに婚約を破棄されたときなどとは比べものにならない――俺は立ち直れないだろう。