そして今日も屋上に来た瞬間、いつも通りに歌って踊り、練習を一生懸命にしている天野先輩を見た。その姿を見るとステージでキラキラとして、沢山の人の視線をあびている天野先輩が頭をよぎる。

 自分はそんな天野先輩の怪我を回避させた。あらためてすごいことをしたんだなって思う。

 天野先輩を守ると共に、これからも無傷で活躍する天野先輩を見られるという、私自身の幸せも守ることが出来て――。


「あのちゃんは僕を助けてくれた日、あの辺りに何か用事があったの?」
「はい、その日に発売した本を買いに……」

 一瞬、先輩の瞳がキラッとした気がした。

「そうなんだ、あのちゃんって普段どんな本読むのかな?って気になっちゃった」

 えっ? 天野先輩が私のそんなところを気にしてくれているの?

「買った本、今日も持ってきてるんですけど……。あ、でも……」 

 カバンの中にお守りのように入れてある先輩の写真集。でもこれを学校で本人に見せるのがなんか恥ずかしいし、見せたらファンってバレちゃうかも。

 どうしよう……。

「見せてほしいかも」
「あ、でも」

 天野先輩にお願いされてる。もう持ってきてるって言っちゃったし。