「皐月・・・どうして俺のためにそこまでしてくれたの?」

廉の少し甘えたような声に胸がどきんと高鳴る。

「だって・・・私は廉の義姉(あね)だから・・・。」

「本当にそれだけ?」

廉の胸に顔をうずめながら、私は小さな声で打ち明けた。

「嫌だったの・・・廉が誰かと触れ合うことが。どうしようもなく嫌だったの。」

「皐月・・・可愛い。キス・・・していい?」

私の返事を待たずに廉の唇が私の唇に押し当てられた。

「んっ」

初めてのキスは、ミントの味がした。

私達は長いくちづけを交わし、その後照れ笑いをしながらお互いをみつめあった。

まさか義弟(おとうと)にファーストキスを奪われるなんて思ってもみなかった。

唇を離した廉が照れくさそうな瞳で私に囁いた。

「皐月・・・好きだ。俺と付き合って。」

「・・・私も・・・廉が好き・・・だと思う。」

「思うってなに?好きって言い切れよ。」

再び廉がその唇で私の唇を塞ぐ。

「・・・でもいいのかな。私は廉の義姉なのに。」

「今更そんなこと言ったってもう遅いよ。皐月は俺の恋人。もう後戻りなんてできない。」

「パパや冬実さんには何て言えばいいの?」

「とりあえず内緒でいいんじゃね?なるようになるって。」

「そっか・・・。そうだね。」

パパや冬実さんに反対されたとしても、この想いはもう止められない。

「あーあ。校則違反、しちゃったね。クラス委員さん。」

廉がそう言って私のおでこを軽くつついた。

「校則は破るためにあるって言ったのは廉でしょ?」

私はすねるように口を尖らせた。

優等生キャラはもう終わり。

廉を好きなままでいたいから、校則なんてもう気にしない。

廉は私の可愛い義弟で、大切な家族で、そしてこれからは・・・愛しい恋人。