私が通っている高校は都心から少し離れた郊外にある「私立美しの丘学園」

偏差値は中の上、クラブ活動も盛んで文武両道との呼び名も高く、ボランティアで校外の清掃にも励んでいる為か、近隣での評判もすこぶる良い。

学園の校舎はレンガ造りで出来ていて、西欧にある大学をモデルに有名な建築家が設計した瀟洒な建物だ。

広い敷地内には、テニスコートやサッカーグラウンドなど、運動部が使うあらゆる設備が整っている。

勿論校舎内にも吹奏楽部や軽音部が使う完全防音の広い音楽室や美術部が使うアトリエ、膨大な書籍が揃った図書室などが完備されている。

校舎の3階の窓から見える、淡い桃色の花びらを散らす桜の木々を眺めながら、新しい学年を迎え、私は新鮮な空気を胸一杯に吸い込んだ。

新しい教科書、新しい教室、そして新しいクラスメート。

人生に一度きりの高校2年生という日々が素晴らしいものになる、私の胸はそんな予感で満ち溢れていた。