結局私と廉の関係は、あの体育祭の後にばれてしまった。

いや、私がばらしたというべきか。

廉におんぶされて保健室へ運ばれ、なんとかお腹の痛みも治まり教室へ戻ると、廉のファンの女子達から取り囲まれた。

その先頭にいる野乃子は、私を睨みつけ目に涙を浮かべている。

「皐月!さっきのアレ、どういうこと?」

「五代君と付き合ってるの?」

「クラス委員なのに、校則破っていいわけ?」

「付き合ってない!神に誓って!」

首を横にぶるぶると振る私。

「じゃあ、どうして五代君が皐月を助けたわけ?」

「それはその・・・」

「はっきり言って!!」

「・・・・・・。」

私は観念して、本当のことを皆に打ち明けた。

「あのね。私の父と廉・・・君のお母さんが結婚して・・・だから私と廉君は義姉弟(きょうだい)になったの。だからけっして付き合ってるとかじゃないの。」

ああ・・・言ってしまった。

これから私はどうなっちゃうんだろう。

そんな私の心配は杞憂だったようで、その事実を知った廉のファンは急激にテンションを下げ、口々に「なーんだ、そういうことか。」「心配して損した。」などと言いながら散らばって行った。

「え?・・・・あれ?」

「そういうことだったんだ。なんで言ってくれなかったの?」

あずみも不服そうな顔で私に尋ねた。

「え・・・。だって廉のファンに嫉妬されるかと思って・・・」

「義姉弟だったら嫉妬されるわけないじゃん。むしろ一番彼女から遠い存在なワケだから。」

「そ、そうだよね。」

・・・そうか。

義姉は彼女になるわけないもんね。

だって家族だもん。

私、なに一人で舞い上がっていたんだろう。

自意識過剰もいいとこだ。

あずみは冗談ぽく軽口を叩いた。

「一緒に住んでる上に廉君と何かあったら、皐月、あんたボコボコにされちゃったりして。」

「そ、それだけは嫌・・・」

「じゃあ五代君とは、義姉以上の距離で近づかない方がいいかも。」

「・・・うん。」

私はあずみの言葉に小さく頷いた。

「でも・・・自分の気持ちには正直でいたほうがいいよ。皐月は周りに気を使い過ぎるからさ。」

そう言うあずみの目が優しくなった。